「パートナーに借金を打ち明けるのが怖い・・・」
「結婚前に借金を整理したいけれど、任意整理したら夫婦関係にヒビが入らないかしら」
こんな悩みを抱えている方は、とても多いです。
借金を打ち明ける場合でも、隠す場合でも、結婚前に任意整理しておくメリットは大きいと言えます。任意整理をすれば、借金の督促が自宅に届くことがなくなり、穏やかな家庭を築きやすくなるためです。
任意整理をした事実と、結婚そのものには、直接の関係はありません。返済できないほどの借金が、結婚後にバレてしまうほうが、関係を悪化させるおそれがあります。
ただし、任意整理にはデメリットもあります。特に、クレジットカードやローン、住宅ローンへの影響は、結婚後の暮らしに関わるため、事前に知っておきましょう。
この記事では、結婚前に任意整理・債務整理をするメリットとデメリット、パートナーに伝えるときのポイント、相談のタイミングを解説します。
- 任意整理は、戸籍や婚姻届には影響しない。官報にも載らない
- 配偶者の信用情報には影響しない。配偶者に返済義務も原則ない
- ただし、任意整理した本人は、クレジットカードやローンが一定期間使えなくなる
- 住宅購入の予定があるなら、早めに相談して、時期を逆算する
結婚と任意整理の関係:影響の早見表
| 項目 | 任意整理の影響 |
|---|---|
| 戸籍・住民票 | 載らない |
| 婚姻届・結婚の手続き | 影響しない |
| 官報 | 載らない(自己破産・個人再生は載る) |
| 配偶者の信用情報 | 影響しない(信用情報は個人ごとに管理される) |
| 配偶者の返済義務 | 原則としてない(連帯保証人・連帯債務者になっている場合を除く) |
| 勤務先 | 原則として、通知されない |
| 本人のクレジットカード・ローン | 影響あり(一定期間、新規作成やローンの利用が難しくなる) |
結婚前に任意整理するメリット
督促が自宅に届かなくなる
弁護士や司法書士に依頼すると、債権者に受任通知が送られ、原則として、債権者からの直接の取立てや督促が止まります。自宅に督促状が届いて、借金がバレてしまう心配が減ります。
利息がカットされ、返済の負担が軽くなる
任意整理では、将来の利息や遅延損害金をカットして、元金を3〜5年程度で分割して返済するのが一般的です。毎月の返済額が減ったり、完済までの見通しが立ったりして、結婚後の家計を立てやすくなります。
打ち明けるときに、解決に向けて動いていると伝えられる
借金を打ち明けるときに、「すでに手続きを進めている」「返済の見通しが立っている」と伝えられると、パートナーも安心しやすくなります。
新生活を、借金の不安なく始められる
結婚式や新居、引っ越しなど、結婚前後はお金がかかります。借金の問題を整理しておくと、気持ちにも余裕が生まれます。
結婚前に任意整理するデメリットと注意点
クレジットカードが使えず、ローンを組めない
任意整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。その間は、クレジットカードの新規作成や、ローンの利用が難しくなります。すでに持っているカードも、利用停止や解約になる可能性が高いです。
詳しくは、「任意整理ならクレジットカードを持てる」は嘘?をご覧ください。
ローンが組みにくい期間は、実質5年程度
事故情報が登録される期間は、一般に完済から約5年です。任意整理では、和解後に3〜5年かけて返済するため、実質的には5年程度、ローンが通りにくい期間が続くと考えておきましょう。
この期間は、信用情報機関や、個々の事情によって異なります。
住宅ローンへの影響
結婚後に住宅の購入を考えている場合、任意整理は大きく影響します。
- 任意整理した本人は、住宅ローンの審査に通りにくい
- 配偶者の単独名義で住宅ローンを組む場合は、配偶者の収入や信用で審査される
- 夫婦で収入を合算するペアローンや連帯債務は、任意整理した側の審査が通らず、利用できない可能性が高い
住宅購入の予定がある場合は、任意整理の時期と、住宅購入の時期を逆算して、早めに弁護士や司法書士に相談しておくことが大切です。
配偶者の名義に頼りすぎない
カードやローンを、配偶者の名義で作れる場合があります。しかし、配偶者の名義に頼りすぎると、配偶者の負担が大きくなります。「家族カード」も、本会員の審査と責任のもとで発行されるものです。使い方を、夫婦でよく話し合いましょう。
結婚前後に、困りやすい場面
| 場面 | 注意点 |
|---|---|
| 新居の賃貸契約 | 家賃保証会社の審査で、信用情報が参照される場合があります。審査に影響する可能性があるため、物件選びの前に確認しておきましょう。 |
| 結婚式・新婚旅行 | クレジットカードでの支払いや、ブライダルローンは利用できません。現金や、配偶者の名義で準備する必要があります。 |
| 住宅の購入 | 住宅ローンは審査が通りにくく、住宅購入の時期を調整する必要があります。 |
| 自動車の購入 | 自動車ローンは利用できません。現金で買う必要があります。 |
| スマホ・家電の分割払い | 端末代や家電の分割払いは、ローン契約のため、利用が難しくなります。詳しくは、債務整理でスマホの分割払いはどうなる?をご覧ください。 |
信用情報に登録される期間や、できなくなることは、債務整理をしてブラックリストに載った人ができなくなることは?で解説しています。
パートナーに、借金を打ち明けるべき?
打ち明けるか、隠すかは、最終的にはご自身の判断です。ただし、結婚後に借金の存在が発覚すると、パートナーとの信頼関係が大きく傷つくおそれがあります。住宅ローンやカードの審査など、打ち明けざるを得ない場面も出てきます。
できるだけ、結婚前の早い段階で打ち明けるほうが、結果としてスムーズなことが多いです。
打ち明けるときのポイント
- 結婚前の、できるだけ早い時期に、落ち着いて話せる状況で伝える
- 借金の総額、借りた理由、現在の状況を、正直に伝える
- 任意整理を「進めている」または「完了した」など、解決に向けて動いていることを伝える
- 今後の返済計画や、家計の管理方法も、一緒に話し合う
- 言い訳をせず、パートナーを不安にさせたことを、素直に謝る
隠したまま任意整理をする場合の注意
隠したまま任意整理を進める人もいます。その場合は、次のような点でバレるリスクがあります。
- 自宅に、督促状や、弁護士事務所からの書類が届く
- クレジットカードが使えなくなり、不自然な状況になる
- 住宅ローンや賃貸契約などの審査で、問題が発覚する
- 返済が滞って、督促が再開される
対策としては、書類の送付先や連絡方法を、あらかじめ弁護士や司法書士に相談しておくことが大切です。詳しくは、任意整理は家族に内緒でできる?で解説しています。
任意整理した事実を、結婚相手に知られる可能性は、返済が滞らない限りは低いです。ただし、後々、結婚後に隠しきれなくなる場面もあります。
結婚の何か月前までに相談すべき?
任意整理は、相談から和解まで、数か月から半年程度かかることが多いとされています。結婚式や入籍、新居の契約、住宅購入の予定が決まっているなら、そこから逆算して、早めに相談しましょう。
手続きの流れ
- 弁護士・司法書士に相談・依頼
- 受任通知の送付(原則として、取立てが止まる)
- 取引履歴の取り寄せ・借金額の確定
- 債権者との和解交渉
- 和解成立後、毎月の返済を開始
手続き中に気をつけたいこと
手続き中は、新たな借入やクレジットカードの利用はできません。結婚式の費用や、新居の初期費用は、現金で準備しておく必要があります。
借入先が分からない場合は、借入先が分からなくなった時の調べ方をご覧ください。
依頼先の選び方は、債務整理は弁護士と司法書士どっちがいい?で解説しています。
配偶者に、返済義務はある?
結婚前の借金は、あくまで本人の借金です。結婚したからといって、配偶者に返済義務が生じることは原則としてありません。債権者が、パートナーに返済を迫ることもできません。
ただし、次のような場合は、例外です。
- 配偶者が、連帯保証人になっている
- 配偶者が、連帯債務者になっている(夫婦でペアローンを組んだ場合など)
結婚後の借金については、日常の家事に関する債務(民法761条)として、夫婦が連帯して責任を負うことがあるとされています。ただし、通常の借金が、日常の家事に当たるかどうかは、事案によって判断が分かれます。
よくある質問
借金は、離婚事由になりますか?
借金そのものが、直ちに離婚事由になるわけではありません。民法770条1項5号は、裁判上の離婚事由として「婚姻を継続し難い重大な事由」を定めていますが、借金や自己破産があるというだけで、これに当たるとは限りません。
ただし、浪費やギャンブルによる借金を繰り返したり、借金を長期間隠し続けたりした事情が、「婚姻を継続し難い重大な事由」と判断される場合もあります。また、裁判にならない協議離婚は、夫婦の合意次第です。
婚約後や、結婚直前でも、任意整理は間に合いますか?
間に合います。ただし、手続きに数か月かかることもあるため、結婚式や新居の契約が近い場合は、すぐに相談しましょう。手続きの途中で、結婚することも可能です。
結婚前に、完済できなかった場合はどうなりますか?
任意整理の返済は、3〜5年程度続きます。結婚後も返済を続けることになるため、家計のなかで返済額を確保する必要があります。パートナーに内緒にしている場合は、返済の管理が難しくなることがあります。
結婚後でも、任意整理はできますか?
できます。ただし、専業主婦(主夫)などで収入がない場合は、任意整理が難しいこともあります。詳しくは、無収入で借金を返せなくなった人が任意整理を行う方法は?をご覧ください。
結婚後に、配偶者の借金を知りました。どうすればよいですか?
配偶者の借金について、返済義務は原則としてありません。ただし、連帯保証人などになっていないか、確認しましょう。そのうえで、夫婦で話し合い、必要なら、一緒に弁護士や司法書士に相談するのも一つの方法です。
任意整理したことは、結婚相手の親や親族に知られますか?
任意整理は、戸籍や官報には載りません。信用情報も、本人だけが開示できるものなので、親や親族に知られる可能性は低いです。
借金の額が大きいときは、任意整理でよいですか?
任意整理では解決できない大きな借金の場合は、個人再生や自己破産を検討します。詳しくは、任意整理とは?、個人再生とは?、自己破産とは?をご覧ください。
まとめ
結婚前に任意整理・債務整理をするときのポイントは、次のとおりです。
- 任意整理は、戸籍・婚姻届・官報に影響せず、配偶者の信用情報にも影響しない
- 配偶者には、原則として、返済義務はない
- 任意整理した本人は、実質8〜10年程度、クレジットカードやローンが使いにくくなる
- 住宅購入の予定がある場合は、時期を逆算して早めに相談する
- パートナーには、できるだけ早い時期に、解決に向けた状況とあわせて伝える
結婚前の任意整理は、結婚後の生活を安定させるための、前向きな選択でもあります。まずは、弁護士や司法書士に相談して、借金がどれだけ減らせるか、結婚までに整理できそうかを確認してみましょう。
