結論からいうと、今手元にお金がなくても債務整理の手続きを始めることはできます。「弁護士費用を払えないから」と相談自体をためらう方は多いですが、債務整理をした人のほぼ全員が、きちんと弁護士費用を払い終えています。それは、お金がない状態でも支払える仕組みが用意されているからです。
クレジットカードや消費者金融からの借り入れで生活が苦しくなっても、債務整理によって立て直すことはできます。この記事では、弁護士費用を払う4つの方法と、依頼後に支払いが厳しくなった場合の対処法、実際にかかる費用の目安を解説します。
弁護士費用を払う方法・早見表
| ①返済ストップ分を充てる | 弁護士に依頼した時点で借金の返済が一時的にストップし、その分を弁護士費用に回せる |
|---|---|
| ②分割払い | 債務整理に強い事務所の多くが分割払いに対応。手続きを進めながら支払える |
| ③法テラスの立替制度 | 収入が一定基準以下なら、法テラスが弁護士費用を立て替えてくれる |
| ④生活福祉資金貸付制度 | 収入が低い方向けに、市区町村社会福祉協議会が債務整理費用(60万円以内)を貸し付け |
債務整理した人が弁護士費用を払えている理由
借金苦でお金がないはずなのに、高額な弁護士費用をどうやって払っているのか疑問に思う方も多いでしょう。主な理由は次の4つです。
①弁護士に依頼すると返済義務が一時的にストップする
弁護士に債務整理を依頼すると、貸金業者への返済義務が一時的にストップします。それまで返済に充てていたお金を、弁護士費用として積み立てることができるようになります。
②分割払いに対応した弁護士事務所に依頼する
手元にまとまったお金がなくても、分割払いに対応している弁護士に依頼すれば問題ありません。依頼者がお金に困っていることは弁護士側も理解しているため、報酬の分割払いに応じてくれる事務所が多くあります。手続きを進めながら、少しずつ弁護士費用を払っていく形になります。
すべての弁護士が分割払いに対応しているわけではありませんが、債務整理を専門的に扱っている事務所は分割払いに対応していることが多いです。
注意:弁護士費用を延滞すると辞任されることがある
弁護士費用は分割払いができますが、支払いが滞ると、手続きの途中でも弁護士に辞任されてしまうことがあります。辞任されると、改めて別の弁護士に依頼し直さなければなりません。
③法テラスの民事法律扶助制度で費用を立て替えてもらう
一定の月収以下の方は、法テラス(国が運営する法律の案内所)が弁護士費用を立て替えてくれる「民事法律扶助制度」を利用できます。立て替えてもらった費用は、後日法テラスに分割で返済していく仕組みです。
収入の基準は、たとえば以下の通りです。
- 単身:18万2,000円
- 2人家族:25万1,000円
- 3人家族:27万2,000円
- 4人家族:29万9,000円
東京23区や横浜市、吹田市、福岡市などの一級地に住んでいる場合は、上記の基準にさらに2万円を加えた収入でも扶助を受けられます。
生活保護受給者は、さらに手厚い援助を受けられる
生活保護を受給している方が自己破産をする場合、法テラスが弁護士費用と裁判所への予納金の両方を援助する制度もあります。生活保護受給者が費用の問題で自己破産すらできなくなる事態を防ぐための制度です。
関連:生活保護を受けるために自己破産すると、裁判費用や弁護士費用が事実上タダになります
④生活福祉資金貸付制度で債務整理費用の貸付を受ける
生活福祉資金貸付制度は、経済的に苦しい方を支援するための公的な貸付制度です。収入が低い方は、「一時生活再建費」として、債務整理に必要な費用の貸付を受けられる場合があります。
貸付限度額:60万円以内
据置期間:貸付けの日(生活支援費とあわせて貸し付けている場合は、生活支援費の最終貸付日)から6ヶ月以内
償還期限:据置期間経過後10年以内
貸付利子:保証人あり無利子、保証人なし年1.5%
保証人:原則必要。ただし、保証人なしでも貸付可
参考:生活福祉資金貸付条件等一覧(厚生労働省)
申し込みや相談は、最寄りの市区町村社会福祉協議会で受け付けています。債務整理を相談した弁護士事務所でも、この制度について案内を受けられることがあります。
依頼後に弁護士費用を払えなくなった時は
弁護士に債務整理を依頼した後、着手金や報酬金の支払いが厳しくなった場合は、滞納する前にすぐ弁護士事務所へ連絡して相談しましょう。
弁護士費用を延滞すると辞任されてしまう可能性があり、報酬金をいつまでも支払えない場合は、弁護士から支払いを求めて訴えられてしまうこともあります。滞納する前に相談すれば、一括払いを分割払いに変更したり、分割の月額を下げたりと、支払える範囲での見直しに応じてもらえることが多く、大きな問題にはなりにくいです。
※ 辞任されてしまった場合の対処法は、辞任通知が届いたらどうする?もあわせてご覧ください。
手元にお金がなくても、まずは無料相談を利用しましょう
「手元にお金がないから」と債務整理の相談をためらってしまうのは無理もありません。しかし、弁護士費用は手続きを進めながら払っていける仕組みが整っています。弁護士に依頼すれば借金の返済が一時的にストップするため、それまで返済に充てていたお金を弁護士費用に回すことができます。
借金による生活苦で債務整理を検討するのは、本当にギリギリの状態になってからという方が多いのが実情です。弁護士費用を理由に悩み続けるより、まずは無料相談を利用してみることをおすすめします。
債務整理にかかる費用はいくら?
ここからは、債務整理に実際いくらかかるのかを詳しく見ていきましょう。弁護士や司法書士に依頼すると、法律相談料・着手金・成功報酬金・実費がかかります。
| 費用名 | 概要 |
|---|---|
| 法律相談料 | 借金問題の相談にかかる費用。30分5,000円程度が相場だが、借金問題については無料としている事務所も多い |
| 着手金 | 手続きの種類によって異なる。任意整理なら1〜3万円、個人再生なら20〜50万円が多い |
| 実費 | 通信費や印紙代など、手続き上必要な費用 |
| 成功報酬金 | 手続きが解決した際に支払う費用。任意整理では減額できた額の5〜10%、過払い金では回収額の20%程度が相場 |
任意整理の費用
任意整理は裁判所へ支払う実費が発生しないため、個人再生や自己破産と比べて費用を抑えやすい手続きです。
実費は合意書に貼る印紙代や、内容証明郵便で送る通知書の費用が主なもので、数千円程度で済みます。弁護士に支払う着手金は1社あたり2万円〜5万円、成功報酬金は1社あたり2万円以下が目安です。1社あたり合計3万円〜5万円が相場のため、たとえば5社を任意整理する場合は、トータルで15万円程度を見ておくとよいでしょう。
個人再生の費用
個人再生は着手金として20〜50万円、成功報酬金として10〜20万円がかかり、裁判所が再生委員を指定する場合はさらに20万円程度が必要になります。
再生委員なしの場合はトータル40万円以上、再生委員ありの場合は50万円以上が目安です。住宅ローン特則(住宅ローンの残るマイホームを残す手続き)を利用する場合は、さらに10万円程度が必要になります。
参考:個人再生にかかる費用はいくら?弁護士報酬の相場と実費について
自己破産の費用
自己破産は、債務者の財産の有無によって「同時廃止」と「管財事件」の2つに分かれます。管財人が入らない同時廃止はトータル30〜50万円、管財人が入る管財事件はトータル60万円程度が目安です。
日本弁護士連合会の「市民のための弁護士報酬の目安」によると、着手金は20〜30万円前後、報酬金は0〜20万円程度(借金額によって異なる)とする事務所が多くなっています。
関連:自己破産するための費用はいくら?費用が払えない場合に利用できる制度
よくある質問
Q. 法テラスの立替制度と、事務所独自の分割払いは併用できますか?
法テラスの立替制度を利用する場合、弁護士費用は法テラスに対して分割で返済していく形になるため、事務所独自の分割払いとは別の仕組みになります。どちらが利用できるかは収入状況によって異なるため、相談時に確認するとよいでしょう。
Q. 生活福祉資金貸付制度は、誰でも借りられますか?
収入や資産の状況などの審査があり、無条件で借りられるわけではありません。詳しい条件は、お住まいの市区町村社会福祉協議会に相談することで確認できます。
Q. 弁護士費用の分割払いは、何回くらいが一般的ですか?
事務所や借金の状況によって異なりますが、任意整理であれば数回〜1年程度の分割に対応している事務所が多く見られます。具体的な回数は、相談時に事務所へ確認しましょう。
分割払いの仕組みや延滞時のリスクは、任意整理の弁護士費用は分割払い可能で詳しく解説しています。
Q. 無料相談だけ利用して、契約はしないという選択もできますか?
可能です。無料相談は費用や解決の見込みを確認するための場でもあるため、相談した上で依頼するかどうかを検討して問題ありません。
まとめ
弁護士費用が払えないからといって、債務整理をあきらめる必要はありません。返済ストップ分を費用に充てる、分割払いに対応した事務所に依頼する、法テラスの立替制度を利用する、生活福祉資金貸付制度を利用するなど、手元にお金がなくても進められる方法はいくつもあります。まずは無料相談を利用し、自分の状況に合った支払い方法を確認することから始めましょう。
