ライブ配信の投げ銭やスパチャに使いすぎて、クレジットカードやカードローンの返済が苦しくなる人が増えています。結論から言うと、投げ銭で作った借金でも債務整理はできます。
この記事の結論
- 投げ銭に使った借金でも、任意整理・個人再生・自己破産のいずれも選べる
- 自己破産では、浪費が免責不許可事由になりうる。ただし、裁判所の判断で免責が認められる(裁量免責)ことも多い
- 任意整理・個人再生は、浪費の影響を受けにくい
- 家族は、連帯保証人でなければ、原則として本人の借金を払う義務はない
- 未成年の子が使った場合は、取り消せる可能性がある
この記事の読み方:投げ銭で借金をした本人の方は「本人が投げ銭で借金を作った場合」から、家族が投げ銭で借金を作った方は「家族が投げ銭で借金を作った場合」からお読みください。
本人が投げ銭で借金を作った場合
投げ銭で借金が膨らむ仕組み
投げ銭は、1回の金額が小さく、その場でお金を使った実感がわきにくいため、気づかないうちに大きな金額になりやすい特徴があります。主な支払い方法は次のとおりです。
- クレジットカード(ショッピング枠)
- リボ払い・分割払い
- スマホのキャリア決済、アプリストア決済
- カードローン・消費者金融からの借り入れ
カードの支払いが追いつかなくなり、別のカードや消費者金融で借りて返す、という流れで借金が増えるケースが少なくありません。
投げ銭の借金も債務整理の対象になる
お金の使い道が投げ銭であっても、債務整理はできます。手続きは、次の3つから選びます。
| 手続き | 内容 | 浪費の影響 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 任意整理 | 将来の利息をカットし、3年程度で分割返済する | 受けにくい | 収入があり、元金は返せる人 |
| 個人再生 | 裁判所の手続きで借金を大幅に減額し、原則3年で返済する | 受けにくい | 借金が多く、収入が安定している人 |
| 自己破産 | 裁判所に認められれば、借金の支払い義務がなくなる | 受けやすい | 収入が乏しく、返済の見込みが立たない人 |
それぞれの詳しい内容は、任意整理とは、個人再生とは、自己破産とはをご覧ください。
任意整理:浪費の影響を受けにくい
任意整理は、弁護士や司法書士が債権者と交渉して、将来の利息をカットし、残った元金を3年程度で分割返済する手続きです。裁判所を通さないため、借金の理由が投げ銭であることが問題になることは、ほとんどありません。
リボ払いで膨らんだ場合は、リボ払いを任意整理して支払いを減額する方法も参考にしてください。カードの利用への影響は、任意整理とクレジットカードで解説しています。
個人再生:浪費が理由でも利用できる
個人再生は、借金の理由が浪費であっても、利用できる手続きです。裁判所が認めた再生計画に従って、借金を大幅に減額して原則3年で返済します。
ただし、継続的な収入があることと、返済計画を守れる見込みがあることが必要です。手続きの途中で新たに借り入れをすると、計画の認可に悪影響が出るおそれがあります。
自己破産:浪費は免責不許可事由になりうる
自己破産では、裁判所が「借金の支払い義務をなくしてよいか」を判断します。この判断のことを免責といいます。破産法は、浪費やギャンブルで借金をした場合を、免責が認められない理由(免責不許可事由)のひとつとしています。
投げ銭に使った金額が大きく、収入に見合わない場合は、浪費と判断される可能性があります。
浪費があっても免責されることがある(裁量免責)
免責不許可事由があっても、裁判所が、借金をした経緯やその後の事情を考えて、免責を認めることがあります。これを裁量免責といいます(破産法252条2項)。判断では、浪費の程度や金額、時期、現在も続けているかどうかなどが見られます。
裁量免責が認められるかは、裁判所の個別の判断です。次のような事情が、プラスに働くことがあります。
- すでに投げ銭をやめている
- 使った金額や経緯を正直に説明している
- 再発防止のために、家計管理や課金の制限に取り組んでいる
浪費が理由の場合は、管財事件になり、費用や期間が増えることもあります。詳しくは、同時廃止と管財事件の違いをご覧ください。また、投資による借金が理由の場合の考え方は、FXや株の借金があっても自己破産できる理由も参考になります。
投げ銭したお金は返金してもらえる?
配信者や配信アプリの運営会社に、すでにした投げ銭の返金を求めることは、原則として難しいです。サービスをすでに受けたものとして扱われるためです。
ただし、次の場合は別に考える余地があります。
- 未成年者が、保護者の同意なく使った場合(後述)
- 身に覚えのない不正利用があった場合
- 詐欺的な勧誘や、誤認させるような誘導があった場合
返金の可否に迷うときは、消費生活センター(局番なし188)に相談できます。
手続き前にやってはいけないこと
- 新たな借り入れ:返済のために、別の会社で借りるのは避ける。詳しくは債務整理の直前に新規借り入れをしてはいけない理由で解説
- クレジットカードの現金化:免責不許可事由になるおそれがある
- 特定の会社だけへの返済:手続きの公平性を損なうおそれがある
- 投げ銭を続ける:浪費が続いていると、裁判所の印象が悪くなる
家族が投げ銭で借金を作った場合
家族に支払い義務はあるのか
連帯保証人になっていなければ、配偶者や親であっても、原則として、本人の借金を払う義務はありません。
ただし、夫婦には「日常の家事に関する債務」について連帯して責任を負う定めがあります(民法761条)。投げ銭による借金がこれに当たると判断されることは、通常は考えにくいですが、断定はできません。心配な場合は、弁護士に確認してください。
未成年の子が投げ銭をした場合
未成年の子が、保護者の同意なしに契約した場合は、契約を取り消せる可能性があります(未成年者取消権、民法5条)。
ただし、次の点に注意が必要です。
- お小遣いの範囲内で使った場合は、取り消せないことがある
- 年齢を偽って契約した場合は、取り消せないことがある
- 成年年齢は18歳なので、18歳・19歳は取消権の対象外
親のクレジットカードやアプリストア決済で使った場合は、配信アプリの運営会社、カード会社、アプリストアに、返金や取り消しの可否を問い合わせてください。家族間の無断使用は、カード会社の不正利用の補償の対象外になることが多い点にも注意が必要です。相談窓口として、消費生活センター(局番なし188)も利用できます。
配偶者や成人した子が投げ銭をした場合
本人の借金なので、債務整理は本人が手続きします。家族が代わりに依頼することはできません。家族が弁護士や司法書士に相談すること自体はできますが、実際に手続きを進めるには、本人の依頼が必要です。
また、家族が肩代わりして払うと、その後の手続きに影響が出ることがあります。払う前に、必ず専門家に確認してください。
家族に督促が来たらどうする?
貸金業法では、貸金業者が保証人でない家族に、借金の支払いを求めることは禁止されています。家族に電話や郵便が届いても、支払う必要はありません。
- 「本人に伝えます」とだけ答え、支払いの約束はしない
- 本人の勤務先や借金の内容を、むやみに伝えない
- 執拗な取り立てがあれば、弁護士や消費生活センターに相談する
家族が本人にできること
- 責めずに、状況を一緒に整理する:借入先、金額、支払い方法、いつから始まったかを、書き出す
- 弁護士や司法書士の無料相談に同行する:本人が1人で行くのをためらう場合に、心強い
- 同居家族の資料が必要になることを伝える:個人再生や自己破産では、家計の状況や、同居家族の収入がわかる資料を求められることがある
- 使い方をやめられない場合:公的な相談窓口(精神保健福祉センターなど)も、選択肢のひとつ
家族が親と同居しているケースについては、借金が親にバレそうな時の対処法も参考になります。
家族や会社にバレたくない場合
債務整理の手続きの種類によって、家族や会社にバレる可能性が変わります。クレジットカードの明細や、債権者からの郵便物で気づかれることが多いので、事前の対策が重要です。
- 任意整理は、家族に内緒で進めやすい。詳しくは任意整理は家族に内緒でできる?をご覧ください
- 会社への影響は、任意整理は会社にバレる?で解説しています
再発を防ぐために
債務整理をしても、同じ使い方が続くと、また借金が増えてしまいます。次の工夫で、再発を防ぎましょう。
- クレジットカードの限度額を下げる、または解約する
- 配信アプリやアプリストアの課金上限を設定する
- 後払いではなく、プリペイドカードなど、使える金額が決まった方法に切り替える
- 投げ銭に使った金額を、毎月、家計簿に記録する
債務整理後の信用情報については、債務整理をしてブラックリストに載った人ができなくなることをご覧ください。
弁護士・司法書士に相談するときのポイント
相談の前に、次の情報を整理しておくと、話がスムーズです。
- 借入先と、それぞれの残高
- 投げ銭に使った、おおよその金額と期間
- 支払い方法(クレジットカード、リボ払い、キャリア決済など)
- 収入と、家族構成
浪費が原因の借金であることは、隠さずに伝えてください。事実に基づいて、どの手続きが合うかを判断してもらうことが、大切です。費用が心配な方は、弁護士費用がなくても債務整理はできる?も参考にしてください。
投げ銭の債務整理についてよくある質問
Q. 投げ銭が理由だと、自己破産はできませんか?
自己破産をすること自体はできます。ただし、浪費は免責不許可事由になりうるので、免責が認められるかは、金額や経緯、その後の状況によります。裁量免責が認められることもあります。
Q. 投げ銭に使った金額は、どう説明しますか?
カードの明細や、配信アプリの利用履歴を、できるだけ集めておきます。金額が不明確なままだと、手続きが進みにくくなります。
Q. 債務整理をすると、ブラックリストに載りますか?
信用情報機関に、債務整理をした記録が一定期間残ります。その間は、新たなクレジットカードの作成やローンの契約が難しくなります。
Q. 子どもが親のカードで投げ銭をしてしまいました。返金されますか?
子どもが未成年で、お小遣いの範囲を超える金額であれば、取り消せる可能性があります。ただし、カード会社は、家族間の無断使用を不正利用として認めないことがあります。配信アプリの運営会社やカード会社に、早めに問い合わせてください。
Q. 夫が投げ銭で作った借金を、妻が返す必要はありますか?
妻が連帯保証人になっていなければ、原則として、返す義務はありません。督促が来ても、支払わずに、本人に対応させるのが基本です。
まとめ
- 投げ銭で作った借金でも、任意整理・個人再生・自己破産のいずれも選べる
- 自己破産では、浪費が免責不許可事由になりうるが、裁量免責が認められることもある
- 任意整理・個人再生は、浪費の影響を受けにくい
- 投げ銭の返金は難しいが、未成年者の利用や不正利用は別に考える余地がある
- 家族は、連帯保証人でなければ、原則として本人の借金を払う義務はない
- 迷ったら、弁護士や司法書士に相談する
投げ銭による借金は、1人で抱え込むほど、大きくなりやすいものです。本人も家族も、早めに専門家へ相談することで、選べる手続きの幅が広がります。

