「自己破産をしたいけど、今の持ち家はどうなるの?」
「できれば今の家に住み続けたい…」
自己破産を考えるとき、多くの人がこの持ち家の問題に悩みます。自己破産は借金をゼロにできる手続きですが、その代わりに一定以上の価値がある財産は手放すことになり、持ち家もその対象です。
ただし、「今すぐ家を追い出される」わけではなく、手放すまでにはある程度の猶予期間があります。また、工夫次第で持ち家を残せるケースもあります。
このページでは、自己破産で持ち家がどうなるのか、いつまで住み続けられるのか、そして持ち家を残すための具体的な方法を解説します。
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自己破産をすると持ち家はどうなる?
自己破産をすると、原則として持ち家は手放すことになります。自己破産は、お金に換えられる財産をすべて処分して借金の返済にあて、それでも残った借金を帳消しにする制度だからです。
ただし、持ち家に住宅ローンが残っているかどうかで、手放すまでの流れが変わります。
住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている持ち家には、金融機関の抵当権がついています。自己破産をすると、この抵当権が実行され、裁判所による「競売」にかけられます。
住宅ローンを完済している場合
住宅ローンをすでに完済している場合は、抵当権がついていないため、破産管財人によって持ち家が「破産財団」に組み込まれ、一般の不動産市場で売却処分されます。売却代金は債権者への配当にあてられます。
いつまで住み続けられる?競売・任意売却の流れと期間の目安
持ち家を手放すといっても、手続きにはある程度の時間がかかるため、すぐに退去する必要はありません。
競売にかけられた場合の期間の目安
競売は、申立てから落札・明け渡しまでに半年~1年程度かかるのが一般的です。
- 競売開始決定
- 現況調査(執行官による物件の調査)
- 売却基準価額・入札スケジュールの決定(競売開始決定から3~6カ月程度)
- 入札・開札
- 落札、代金納付(所有権が落札者に移転)
- 明け渡し
この間は特に引っ越しを急ぐ必要はなく、次の住まいを探すための猶予期間と考えることができます。ただし、買い手がなかなか見つからない場合はさらに長引くこともあります。
任意売却の場合
自己破産の申立て前に、抵当権者(金融機関)の同意を得て自分で買い手を探して売却する「任意売却」という方法もあります。手続きが競売より早く進むため、退去までの期間は短くなる傾向があります。
任意売却と競売はどちらが有利か
住宅ローンが残っている場合、任意売却と競売のどちらになるかで、手元に残るものや周囲に知られるリスクが変わってきます。
| 任意売却 | 競売 | |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格に近い(比較的高く売れやすい) | 市場価格より低くなりやすい |
| 情報の公開 | 公開されない | 裁判所の情報として公開される |
| 退去までの期間 | 比較的早い | 半年~1年程度かかることが多い |
| 引っ越し費用の確保 | 交渉により認められる場合がある | 原則として認められない |
任意売却の方が高く売れやすく、近所に自己破産の事実を知られにくいというメリットがあります。ただし、自己破産の申立て前に任意売却を行う場合は、弁護士に相談しながら進める必要があります。独断で売却すると、後述する財産隠しの疑いをかけられるおそれがあるためです。
共有名義・ペアローンの持ち家の場合
夫婦の共有名義やペアローンで購入した持ち家の場合、破産するのが夫婦のどちらか一方だけであれば、破産者本人の持分のみが処分の対象になります。
共有名義の家に住み続けたい場合は、以下のような方法が考えられます。
- 破産しない側の共有者が、破産者の持分を買い取る
- 破産者が、破産管財人に持分の価値相当額を支払う
- 裁判所に自由財産の拡張を認めてもらう
ただし、共有者に持分を買い取るだけの資金がない場合は、結局その不動産全体が売却の対象となり、住み続けられなくなる可能性があります。
自己破産しても持ち家を残す方法
「どうしても今の家に住み続けたい」という場合は、以下のような方法を検討する余地があります。
個人再生(住宅ローン特則)に切り替える
持ち家を残したいなら、自己破産ではなく個人再生を選ぶのが最も有力な選択肢です。
個人再生は、借金を大幅に減額(最大5分の1、もしくは100万円まで)したうえで、原則3年(最長5年)で分割返済していく手続きです。「住宅ローン特則」を使えば、住宅ローン以外の借金だけを減額し、住宅ローンの支払いは今まで通り続けることで、家を手放さずに済みます。
ただし、個人再生を利用するには、今後も継続して安定した収入が見込めることが条件になります。
詳しくは『個人再生とは』をご覧ください。
自由財産の拡張を申し立てる
裁判所に「自由財産の拡張」を認めてもらえれば、本来は処分対象となる持ち家を手元に残せる可能性があります。ただし、不動産は高額な財産であるため、自由財産の拡張が認められるケースは限定的です。
詳しくは『自己破産しても残せる財産(自由財産)』をご覧ください。
親族に買い取ってもらう
破産管財人の同意のもとであれば、親族がその持ち家を市場価格で買い取ることが可能です。親族の所有になった家に、そのまま住まわせてもらうという形で住み続けられます。
リースバックを利用する
リースバックとは、不動産会社などの第三者に持ち家を売却したうえで、賃貸借契約を結んでその家に住み続ける方法です。所有権は手放しますが、引っ越しをせずに済むというメリットがあります。ただし、売却後は家賃の支払いが発生する点に注意が必要です。
自分で買い取る
破産管財人に対して持ち家の価値相当額を現金で支払うことができれば、自分自身でその持ち家を買い戻すことも可能です。ただし、まとまった現金が必要になるため、現実的に選択できる人は限られます。
持ち家の名義変更・売却に関する注意点
自己破産を検討している段階で、以下のような行為を行うと、財産隠しとみなされ免責が許可されなくなるおそれがあります。
- 持ち家の名義を家族や親族に無断で変更する
- 弁護士に相談せず、独断で持ち家を売却する
- 相場より著しく安い価格で親族に売却する
持ち家をどうにかして残したい、あるいは身内に渡しておきたいという気持ちから名義変更や売却を急いでしまう人がいますが、これらは裁判所や破産管財人の調査で発覚することが多く、かえって免責不許可事由に該当するリスクを高めてしまいます。持ち家の処分や名義に関わる行動は、必ず弁護士に相談してから行いましょう。
自己破産後の住まいはどうなる?
賃貸契約はできる?
自己破産をしても、新たに賃貸物件を借りること自体はできます。ただし、信販系の家賃保証会社を利用する契約では、信用情報の事故情報が影響して審査に通りにくくなることがあります。信販系以外の保証会社や、連帯保証人を立てる契約であれば、通常どおり契約できるケースが多いです。
住宅ローンはいつから組める?
自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録される、いわゆる「ブラックリスト」の状態になります。この状態は5年~10年程度続き、その間は新たに住宅ローンを組むことはできません。
詳しくは『債務整理をしてブラックリストに載った人ができなくなること』をご覧ください。
自己破産と持ち家に関するよくある質問
Q. 競売にかけられたら、すぐに家を出ないといけませんか?
すぐに退去する必要はありません。競売は申立てから落札・明け渡しまで半年~1年程度かかるのが一般的で、その間は今の家に住み続けられます。
Q. 賃貸住宅(借家)に住んでいる場合はどうなりますか?
持ち家ではなく賃貸住宅に住んでいる場合、家賃を滞納していなければ、自己破産をしても賃貸契約がそのまま解除されることはありません。
Q. 住宅ローンが残っていなければ、持ち家を残せますか?
住宅ローンを完済していても、持ち家の価値が一定額(自由財産として認められる範囲)を超えていれば、原則として処分の対象になります。自由財産の拡張が認められるかどうかは個別の事情によります。
Q. 個人再生ならどんな場合でも家を残せますか?
住宅ローン特則を使うには、安定した収入の見込みがあることに加え、住宅ローン以外の抵当権が設定されていないことなど、一定の条件を満たす必要があります。詳しくは弁護士に相談して確認しましょう。
まとめ
自己破産をすると、原則として持ち家は手放すことになりますが、競売や任意売却には一定の期間がかかるため、すぐに追い出されるわけではありません。
どうしても今の家に住み続けたい場合は、個人再生(住宅ローン特則)への切り替えが最も現実的な選択肢になりますが、そのほかにも自由財産の拡張、親族による買い取り、リースバックといった方法があります。
持ち家の名義変更や売却を独断で行うと、財産隠しとみなされるリスクがあります。持ち家を残したい、あるいはできるだけ有利な形で手放したいという場合は、早い段階で債務整理に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

