債務整理をすると、クレジットカードが使えなくなるのと同時にETCカードも使えなくなります。
高速道路を使う機会が多い人にとっては、かなり困る問題です。
結論から言うと、クレジットカードなしで作れるETCカードは3種類あります。
- ETCパーソナルカード(個人向け)
- 高速情報協同組合のETCカード(法人・個人事業主向け)
- 首都・阪神高速道路ETCコーポレートカード(法人・個人事業主向け)
この3つはクレジットカードの審査を通さずに発行できる仕組みです。会社員や主婦など個人の方が現実的に選べるのは、ETCパーソナルカードです。
この記事では、債務整理後にETCカードがどうなるのか、3種類のカードの費用と条件、作れない場合の対処法、クレジットカード付帯のETCカードをいつから作れるかをまとめました。
- 債務整理(対象にしたカード)のETCカードは、クレジットカードの解約とともに使えなくなる
- 個人はETCパーソナルカード、事業者は協同組合系のカードが選択肢になる
- 金額や条件は変更されることがあるため、申込前に必ず公式サイトで最新情報を確認する
債務整理するとETCカードはどうなる?
ETCカードの多くは、クレジットカードに付帯する形で発行されています。そのため、クレジットカードが解約や利用停止になると、ETCカードも使えなくなります。
任意整理・個人再生・自己破産で違いはある?
手続きによって、影響の出方は少し違います。
| 手続き | ETCカードへの影響 |
|---|---|
| 任意整理 | 整理の対象にしたカード会社のカード(付帯ETCカードを含む)は利用できなくなります。対象外にしたカードは使える場合もありますが、更新時の審査で解約される可能性があります。 |
| 個人再生 | 原則として、すべての債権者が対象になるため、クレジットカードは使えなくなります。 |
| 自己破産 | すべてのクレジットカードが解約され、付帯のETCカードも使えなくなります。 |
任意整理でクレジットカードがどうなるかは、「任意整理ならクレジットカードを持てる」は嘘?で詳しく解説しています。
ブラックリストに載っている間は、新しいカードを作れない
債務整理をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。登録期間は手続きや信用情報機関によって異なりますが、目安は次のとおりです。
- 任意整理:完済から5年程度
- 個人再生・自己破産:5〜10年程度
この期間は、クレジットカードの審査に通ることがほぼ期待できません。ブラックリストの期間や、ほかにできなくなることについては、債務整理をしてブラックリストに載った人ができなくなることは?で解説しています。
つまり、期間が過ぎるまでは、クレジットカード不要のETCカードを使うのが現実的な方法です。
債務整理した人が使えるETCカード3種類の早見表
| ETCパーソナルカード | 高速情報協同組合のETCカード | 首都・阪神高速ETCコーポレートカード | |
|---|---|---|---|
| 対象 | 個人 | 法人・個人事業主 | 法人・個人事業主 |
| 初期費用 | デポジット(保証金) | 出資金1万円(脱退時に返金)と発行手数料 | 公式サイトで確認 |
| 年会費など | 年会費1,257円(税込) | 年間の取扱手数料など | 公式サイトで確認 |
| 信用情報の審査 | クレジットカードのような与信審査はない | 参照しない(組合独自の入会審査はある) | 参照しない |
| 向いている人 | 会社員・主婦など、事業をしていない人 | 複数の車を使う事業者 | 首都高・阪神高速を頻繁に使う事業者 |
ETCパーソナルカード(個人向け)
ETCパーソナルカードは、高速道路6会社(NEXCO東日本・中日本・西日本、首都高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社)が共同で発行しているETCカードです。
クレジットカードを持っていない人でも、デポジットを預ければ作れます。債務整理した個人にとって、もっとも現実的な選択肢です。
デポジットは「平均利用月額の4倍」
デポジットは、申込時に申告する平均利用月額の4倍が目安です。最低額は3,000円です。
| 1か月の平均利用額(目安) | 必要なデポジット(目安) |
|---|---|
| 5,000円 | 2万円 |
| 1万円 | 4万円 |
| 3万円 | 12万円 |
デポジットは前払い金ではなく、あくまで保証金です。ETCの利用金額は別途、銀行口座から引き落とされます。
デポジットを超えて使うと一時停止される
利用金額がデポジットの額を超えると、カードが一時的に使えなくなります。通勤などで高速道路を頻繁に使う人は、月の利用額を多めに申告してデポジットを預けておくのが安全です。
年会費・引き落とし・返金
- 年会費は1枚あたり1,257円(税込)
- 通行料金の支払いには、ゆうちょ銀行を含む銀行口座が必要
- 解約するとデポジットは返金される(年会費は返金されない)
- 1名義につき1枚のみ発行
申込から発行までの流れ
申込は書類の郵送で行います。デポジットを入金してから、カードが届くまでおよそ2週間かかります。すぐにETCカードが必要な人は、早めに申し込みましょう。
最新の申込方法や金額は、ETC総合情報ポータルサイトで確認してください。
高速情報協同組合のETCカード(個人事業主向け)

高速情報協同組合のETCカードは、法人向けのカードですが、個人事業主も申し込めます。クレジット機能のないETC専用のカードです。
クレジットカードのように信用情報機関の情報を参照しないため、ブラックリスト状態でも申し込めます。
費用の仕組みは「デポジット」ではなく「出資金」
組合に加入するための出資金として1万円(1社につき1口)が必要です。これは脱退時に返金されます。
これとは別に、カードの発行手数料や年間の取扱手数料、走行金額に応じた手数料がかかります。金額は改定されることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。
申込に必要な書類
個人事業主の場合は、次のような書類が必要です。
- 所得税の確定申告書の写し
- 車検証の写し
- ETC車載器セットアップ証明書の写し
事業の実態がわかる書類が必要なため、会社員の方が申し込むのは難しいでしょう。
「仕事でETCカードが必要だけど、債務整理で困っている」という個人事業主の方におすすめです。
参考:高速情報協同組合
首都・阪神高速道路ETCコーポレートカード(個人事業主向け)

首都・阪神高速道路ETCコーポレートカードも、個人事業主が作れるETCカードです。
高速情報協同組合のETCカードと違い、車1台につき1枚発行するタイプです。自家用車と事業用車を同じカードで使うことはできません。
首都高や阪神高速の割引率が通常のETCカードより高く設定されているため、東京・大阪で事業をしている方に向いています。
このカードは、大口・多頻度の利用を想定した制度です。申込の目安となる利用額などの条件は変わることがあるため、公式サイトで確認してください。
どれも作れない・使えない場合の選択肢
ETCを使わず、一般レーンで現金払いにする
ETCカードがない場合でも、ETC車載器を付けた車で高速道路を使うことはできます。料金所では、ETC専用レーンではなく、係員のいる「一般」レーンを通って現金で支払います。
ETC割引が適用されないため、料金は割高になります。出発前に、ルートの料金所が現金払いに対応しているか確認しておきましょう。
デポジット型のクレジットカードを使う
カード会社によっては、10万円以上のデポジットを預けることで、年会費無料のETCカードを発行できる場合があります。
ただし、これはクレジットカードの一種です。債務整理後の信用情報の登録期間中は、審査に通らない可能性が高く、申込記録が残るリスクもあります。期間が過ぎてから検討するのが無難です。
他人名義のETCカードを借りるのは避ける
家族のETCカードを借りて使うのは、カードの規約で禁止されていることが多く、トラブルのもとになります。家族カードとして自分名義のETCカードを作れるかは、契約者であるご家族の判断と、カード会社の規約によります。
クレジットカード付帯のETCカードはいつから作れる?
債務整理後にクレジットカード付帯のETCカードを作るには、信用情報機関の事故情報が消えるのを待つ必要があります。
- 任意整理:完済から5年程度
- 個人再生・自己破産:5〜10年程度
信用情報機関によって登録期間が異なるため、自分の信用情報を確認してから申し込むことが大切です。期間が過ぎる前に申し込むと、審査に落ちるだけでなく、申込記録が残ってしまいます。
それまでの間は、ETCパーソナルカードで十分に代用できます。
よくある質問
任意整理でもETCカードは使えなくなりますか?
整理の対象にしたカード会社のクレジットカードは使えなくなり、付帯のETCカードも同じです。対象外にしたカードは、更新のタイミングで審査され、解約される可能性があります。
ETCパーソナルカードに審査はありますか?
クレジットカードのような信用情報による与信審査はありません。ただし、利用規約に基づく確認はあります。申込内容に不備があると発行されないため、記入内容を確認しましょう。
デポジットは返金されますか?
解約時に返金されます。ただし、未払い残高がある場合はデポジットから差し引かれます。年会費は返金されません。
会社員でも高速情報協同組合のETCカードを作れますか?
法人または個人事業主であることが条件です。会社員が個人で申し込むのは難しいため、ETCパーソナルカードを選びましょう。
まとめ
債務整理をすると、クレジットカードと一緒にETCカードも使えなくなります。
クレジットカードなしで作れるETCカードは、次の3種類です。
- 個人:ETCパーソナルカード(デポジットを預ければ作れる)
- 個人事業主:高速情報協同組合のETCカード
- 首都高・阪神高速をよく使う個人事業主:首都・阪神高速ETCコーポレートカード
金額や条件は変更されることがあるため、申込前に公式サイトで最新情報を確認してください。
ETCカードの問題は、時間が経てば解決しますが、借金の問題は放置すると悪化します。債務整理の手続きをまだ迷っている方は、任意整理とは?、個人再生とは?、自己破産とは?もあわせてご覧ください。
