債務整理をすると、借入先が銀行の場合は消費者金融やクレジットカード会社とは違った特有の注意点があります。
代表的なのが「口座凍結」ですが、それだけではありません。銀行の借金は保証会社との交渉になるケースが多く、この点を知らずに手続きを進めると「思っていたのと違った」となりがちです。
このページでは、債務整理と銀行の関係について、口座凍結のタイミングから解除の流れ、事前の対策、そして銀行ならではの交渉の注意点までまとめて解説します。
債務整理をすると銀行との関係で起きること
銀行からカードローンや住宅ローンなどの借り入れがある状態で債務整理をすると、主に次の3つが起こり得ます。
- その銀行の預金口座が凍結される
- 交渉相手が銀行本体ではなく「保証会社」になる
- 住宅ローンがある場合は、個人再生など手続きの選び方に注意が必要になる
まずは一番気になる「口座凍結」から順に見ていきます。
銀行口座が凍結されて解除されるまでの流れ
銀行口座が凍結するタイミングは弁護士が送った受任通知を銀行が確認した時点です。
口座凍結から解除までの流れは下記のようになります。
- 債務整理の依頼を受けた弁護士が、債権者に対して受任通知(債務整理を開始する通知)を送る
- 銀行が受任通知を確認して口座凍結する
- 保証会社に対して代位弁済の手続きを行う
- 保証会社が代位弁済をすると凍結が解除される
保証会社とは、連帯保証人の役割をしている会社です。あなたが借金を返済できなかった時には、あなたに代わって残りの債務を弁済する義務があります。
保証会社が代位弁済すると「保証会社があなたに代わって弁済しました」という通知が届きます。代位弁済された旨の書類が届いているなら、弁護士事務所へ相談をする時に持って行きましょう。
口座凍結から解除までの期間は1~3ヶ月です。口座が凍結されて使えない可能性があるので、事前に対策をしておかなければいけません。
口座凍結に備えて準備しておくこと
口座凍結しても困らないための対策として、債務整理前に以下の準備を行います。
- 預金を引き出しておく
- 会社の給与振込口座を変更する
- 携帯電話やインターネット、光熱費の引き落とし口座を変更する
- 普段使う銀行口座を開設する
弁護士が受任通知を銀行に送った時点で口座が凍結されますから、受任通知を送る前に預金を引き出して残高0円にします。
同時に、給与受け取り口座を変更しておきましょう。経理部の人にお願いして口座を変更してもらえば給与を受け取れます。
凍結される前に預金を0にしなかった場合、相殺された残高は諦めるしかありません。
会社都合で振込先の銀行口座を変更できない場合
会社の決まりで給与受け取り口座を変更できないケースはあります。
凍結後に振り込まれた給与は相殺の対象外なので、『口座にお金はあるけど現金をおろせない』という状況になります。
後述しますが、銀行によっては、弁護士が代理人になれば口座凍結中でも給与部分だけは引き出しに応じてくれることがあります。
銀行口座と関連のない債務だけ任意整理するなら凍結されない
任意整理で債務整理の対象から銀行ローンを外せば口座は凍結しません。
任意整理で口座が凍結する条件は下記の通りです。
- 銀行からカードローンや住宅ローンなどの借り入れをしている
- その銀行に預金口座がある
- その借り入れを任意整理の対象にする
三井住友銀行とプロミスは関連会社ですが、プロミスを債務整理しても三井住友銀行の預金口座は凍結されません。系列とはいえ別会社だからです。ただし、プロミスと三井住友銀行カードローンのどちらかを任意整理するのは難しいです。
銀行の借金は「保証会社」との交渉になる
消費者金融やクレジットカード会社を任意整理する場合、弁護士は貸金業者本人と直接交渉します。
一方、銀行のカードローンやフリーローンには、多くの場合保証会社が付いています。銀行が任意整理の受任通知を受け取ると、まず保証会社が代位弁済を行い、そこから先は保証会社が新しい債権者として交渉相手になるというのが実務上の流れです。
信販会社や消費者金融との違い
- 消費者金融・信販会社:貸主本人と直接、将来利息のカットなどを交渉する
- 銀行:代位弁済後の保証会社と交渉することになる
保証会社との交渉で知っておきたいこと
保証会社は代位弁済によって銀行に立て替え払いをしているため、減額(元金カット)の和解には応じにくい傾向があると言われています。
実務では、元金はそのままに、将来の利息や遅延損害金をカットしたうえで3〜5年程度の分割払いにする、という形で和解するケースが中心になります。
「銀行だから交渉が有利/不利」と一概には言えず、保証会社によって対応が異なります。詳しい見通しは、債務整理を専門に扱っている弁護士に確認しましょう。
口座が凍結されてお金を引き出せなくなったら弁護士にかけあってもらう
銀行の預金口座が凍結されると下記のような表示がでてお金をおろせなくなります。
- ATMにキャッシュカードを入れると「利用できません」と表示される
- 借金残債と預金残高が相殺されて口座残高が0円になる
- 通帳には「相殺」と記帳される
原則として凍結中にお金をおろすことはできませんが、生活費が厳しくなってどうしても銀行からお金をおろさなければいけないケースはあります。
そんな時は、弁護士に相談して銀行と掛け合ってもらってください。債務整理中の本人が掛け合ってもらっても相手にしてもらえませんから、代理人にお願いした方がスムーズに話がすすみます。
これから弁護士さんを探すのなら、相談内容に下記の内容を書いておくと親切です。
- ○○ローンから借金が●●円ある
- 給与の受け取りに○○銀行を利用している
- 会社の決まりで給与を受け取る口座を変更できない
銀行によって対応が異なりますので、債務整理を専門に扱っている弁護士事務所へ直接相談してください。
よくある質問
Q. 三井住友銀行とプロミスのような系列会社の場合、両方の口座が凍結されますか?
系列会社であっても法人格が別であれば、片方を整理してももう片方の口座が自動的に凍結されることはありません。三井住友銀行とプロミスもこのケースにあたります。ただし、両方を同時に整理する場合は別の話になるため、事前に弁護士へ確認しておくと安心です。
Q. ネット銀行の口座でも凍結されますか?
店舗を持たないネット銀行であっても、その銀行からカードローンなどの借り入れがあり、同じ銀行に口座を持っている場合は、通常の銀行と同様に凍結の対象になります。
Q. 住宅ローンの引き落とし口座も凍結されますか?
住宅ローンを任意整理の対象から外していれば、その返済用口座が凍結されることはありません。ただし、住宅ローン自体を残しつつ他の借金だけ整理したい場合は、個人再生の住宅ローン特則なども選択肢になるため、あわせて弁護士に相談することをおすすめします。
Q. 口座凍結を避ける一番確実な方法は何ですか?
その銀行からの借り入れを任意整理の対象から外し、他の借金だけを整理することです。ただし借金の総額によっては、銀行の借金を外すと十分な減額効果が得られない場合もあるため、トータルで見てどちらが得かを弁護士と一緒に検討しましょう。
まとめ
銀行の借金を債務整理すると、受任通知が届いた時点でその銀行の口座が凍結されます。凍結中は原則として引き出しができないため、預金を引き出す・給与受け取り口座を変える、といった事前の準備が欠かせません。
また、銀行の借金は保証会社が代位弁済したあと、保証会社との交渉になるという点も、消費者金融やクレジットカード会社の整理とは異なる銀行ならではの特徴です。
口座凍結のタイミングや保証会社との交渉の見通しは、借入先の銀行や保証会社によって対応が異なります。まずは債務整理を専門に扱っている弁護士事務所に、自分の状況を伝えて相談してみましょう。

