結論からいうと、任意整理をするタイミングは「借金がいくらになったか」ではなく、「和解後の借金を3年(長くても5年)で返済できる収入があるかどうか」で判断します。
借金の総額が100万円でも200万円でも、返済を続けられる見込みさえあれば任意整理は可能です。
さらに、2008年より前から借入・返済を続けている取引歴の長い方は、グレーゾーン金利の影響で借金が大きく減ったり、過払い金が戻ってきたりする可能性もあります。
この記事では、任意整理をすべきタイミングの見極め方と、取引歴が長い人が受けられるメリットについて解説します。
任意整理のタイミング・早見表
| 判断基準 | 借金の総額ではなく、和解後の残高を3〜5年で返済できる収入があるかどうか |
|---|---|
| 目安の返済ペース | 和解後180万円なら、月5万円×36回で完済できれば任意整理が可能 |
| 返済が難しい場合 | 月2万円しか返せず60回払いでも完済できない場合は個人再生・自己破産を検討 |
| 取引歴が長い人(2008年以前〜) | グレーゾーン金利の引き直し計算で借金が大きく減る、または過払い金が発生する可能性がある |
任意整理は借金の金額に関係なく検討できる
「借金がいくらになったら任意整理をすべきか」と考える方は多いですが、借金の大きさと任意整理をするタイミングは直接関係ありません。
返済が苦しく、生活が立ち行かなくなりそうだと感じた時点で、すでに任意整理を検討すべき段階に入っています。
任意整理ができるかどうかの基準は、借金の総額ではなく「返済を続けられる収入があるかどうか」です。借金の総額が100万円でも200万円でも手続き自体は可能です。
特に2008年以前からの長い取引歴がある場合は、後述するグレーゾーン金利の問題により、任意整理のメリットを大きく受けられる可能性があります。
3年(最長5年)で返せるかどうかが分かれ目
任意整理をするかどうかの実質的な判断ポイントは、「契約を見直したあとの借金残高を、長くても3年(最長5年)で返済できるかどうか」です。和解成立後の残高を3年・36回の分割払いで返済できない場合は、個人再生や自己破産の方が向いている可能性があります。
たとえば和解後の債務が180万円の場合、次のように判断します。
- 毎月5万円を返済できる場合:3年(36回払い)で完済できるため任意整理が可能
- 毎月2万円しか返済できない場合:5年(60回払い)でも完済が難しいため、個人再生・自己破産を検討
関連:債務整理後の弁済期間はどのくらい?3年かけて分割返済するのが基本です
任意整理は「利息をカットする」手続き
任意整理は借金の元金そのものを減らす手続きではなく、将来発生するはずだった利息をカットし、生活の再建を目指す手続きです。
もともと低い金利で借りていて、利息のカットによる効果があまり見込めない場合は、任意整理をするメリットは小さくなります。
また、任意整理をしたからといって、必ずしも利息が0%になるわけではありません。たとえば現在15%の金利が5%程度に引き下げられる、といった和解になることもあります。
どのような和解内容になるかは貸金業者の担当者の方針や、依頼した弁護士・司法書士の交渉力によっても変わってくるため、債務整理の実績が豊富な事務所に依頼することが、有利な結果につながりやすいポイントです。
取引歴が長い人ほど、グレーゾーン金利で得をする可能性がある
任意整理で特に大きなメリットを受けやすいのは、取引歴の長い方です。2008年の貸金業法第3次施行より前から取引を続けている方(いわゆる「グレーゾーン金利」で長く返済してきた方)は、法律上の上限を超えた利息を払い続けていた可能性があり、その分を引き直し計算することで借金が大きく減ることがあります。
ケースによっては、借金が全額なくなるだけでなく、払い過ぎていた利息(過払い金)が発生しており、100万円以上のお金が戻ってくることさえあります。
取引歴が長い方は、任意整理の相談時に「いつから取引しているか」を正確に伝えることが、メリットを最大限に引き出すポイントになります。
よくある質問
Q. 2008年以降に借入を始めた場合は、グレーゾーン金利のメリットはありませんか?
2008年以降に契約した借入では、貸金業法の改正によりグレーゾーン金利自体がほぼ解消されているため、引き直し計算による減額効果は基本的に見込めません。ただし、将来利息のカットによる負担軽減効果は受けられます。
Q. 収入が不安定でも任意整理はできますか?
パートやアルバイト、自営業などで収入が変動する場合でも、継続して返済していける見込みがあれば任意整理は可能です。収入の波が大きい場合は、無理のない返済額になるよう交渉時に相談しましょう。
Q. 任意整理をする借金と、しない借金を選べますか?
任意整理は自己破産と異なり、対象にする借金を選んで手続きすることができます。たとえば連帯保証人がついている借金は対象から外し、それ以外の借金だけ任意整理する、といった対応も可能です。
Q. 何年前の取引履歴まで開示してもらえますか?
貸金業者に取引履歴の開示を請求することで、契約当初までさかのぼった履歴を取り寄せられるのが一般的です。正確な借金の減額幅は、この開示請求の結果を引き直し計算してみないとわかりません。
まとめ
任意整理を検討すべきタイミングは、借金の総額ではなく「和解後の残高を3〜5年で返済できる収入があるかどうか」で判断します。
さらに、2008年以前からの長い取引歴がある方は、グレーゾーン金利の引き直し計算によって借金が大きく減ったり、過払い金が戻ってきたりする可能性もあります。返済が苦しいと感じたら、借金の金額にかかわらず早めに債務整理の実績が豊富な弁護士・司法書士へ相談することをおすすめします。
