大学生の3人に1人は奨学金を借りています。しかし、近年「奨学金が返せなくて生活が苦しい」という人達が問題になっています。
この記事では、奨学金を債務整理する際の注意点について解説します。
この記事の目次
債務整理で奨学金自体を減額するのは難しい
債務整理には任意整理・個人再生・自己破産があり、この中でもっともデメリットが少ないのが任意整理です。
任意整理とは、債権者との話し合いで借金を減額する手続きです。裁判所が強制的に免除する自己破産と比べると、任意整理には『債権者が減額交渉に同意する義務がない』という特徴があります。
代表的な奨学金実施団体である日本学生支援機構(JASSO)は、任意整理交渉をしても協力的ではありません。将来利息のカットにも、返済期間の延長にも応じない姿勢が強いです。
奨学金を任意整理すると両親に請求がいく
奨学金を任意整理の対象とすると、奨学金の請求が連帯保証人や保証人にいきます。
連帯保証人になっているのは原則として「父母」、保証人には「叔父」や「兄弟」がなっているため、家族に内緒にするのはまず無理です。
奨学金を含めて債務整理すると、連帯保証人が一括で借金の請求をされます。一括で支払えなければ保証人も債務整理する必要があるかもしれません。
※保証制度には機関保証と人的保証がありますが、機関保証を利用している場合は別です。(後述します)
奨学金以外を任意整理するのが一般的
奨学金の滞納に悩んでいる方の多くは、奨学金以外の借金があります。奨学金の返済に困って「借金を返すために借金をする」というパターンです。
この場合は、任意整理の対象から奨学金を外し、奨学金以外の借金(他の消費者金融など)を任意整理することができます。
借金全体の金額を抑えられるため、現在の借金苦よりは状況が改善します。奨学金を任意整理の対象から外すわけですから、保証人へ連絡がいくこともありません。連帯保証人に内緒で債務整理を行うなら、この方法が一番でしょう。
個人再生・自己破産する場合も保証人が責任を負う
奨学金の返済が滞って個人再生や自己破産をした場合は、連帯保証人と保証人が責任を負います。
ポイントは下記の2点です。
- 個人再生で減額した奨学金は、減額分を保証人が返済しなければいけない
- 自己破産して免除された奨学金は、保証人や連帯保証人が返済しなければいけない
ざっくり言うと『あなたの支払い義務がなくなっても、保証人が残っている債務を支払わなければいけない』ということです。
保証人に債権が移った時は一括返済を求められるため、保証人も一緒に債務整理する必要があるかもしれません。奨学金の債務整理を検討しているなら、保証人に相談しなければいけません。
個人再生で奨学金を外すのは不可能だが任意に返済することは可能
個人再生や自己破産をする場合、奨学金を手続きから外すことはできません。保証人に迷惑はかかるので、きちんと説明した上で手続きをしましょう。
債務整理の手続きが全て終了したあとに、保証人だった方へ任意に返済するのは可能です。
自己破産の場合:免責許可が決定したあと
個人再生の場合:再生計画に基づく債権者への弁済が終了したあと
保証人だった人に「債務整理が終わりました。あなたが奨学金実施団体に払ったお金を払います」と言って、奨学金の金額を払うことはできます。
債務整理手続きが終わったあとに返済すること自体は大丈夫ですが、
偏頗弁済の約束は注意するべき
原則として偏頗弁済(自己破産する直前に一部の債権者だけに返済する行為)は禁止されています。
「債務整理が終わったあと、あなたが奨学金実施団体に払ったお金を払います」という偏頗弁済の約束も脱法の可能性がある点に注意しましょう。
偏頗弁済がなぜ禁止されているのか
偏頗弁済がどこまで禁止されているのか
これをきちんと理解している弁護士さんが保証人に対して伝えるなら問題ありませんが、素人が伝えると正確に伝わらない可能性があります。
当サイトとしては、無用のリスクを避けるためにも「偏頗弁済の約束はしない」ことをおすすめします。
奨学金の保証は機関保証か人的保証がある
奨学金の申請者は学生本人です。学生自身が借主となり、本人が奨学金を返済できなかった場合に備えた保証制度として「機関保証」か「人的保証」を選びます。
機関保証制度とは、一定の保証料を保証期間に支払うことで、保証機関が連帯保証する制度です。
【機関保証と人的保証の違い】
種類 | 保証制度 | 内容 |
---|---|---|
機関 保証 | 公益財団法人日本国際教育支援協会 | ・一定の保証料の支払いが必要 ・奨学金から保証料を差し引いた金額が振り込まれる ・連帯保証人および保証人は不要 |
人的 保証 | 連帯保証人・保証人の両方が必要 | 連帯保証人:原則として「父母」 保証人:原則として「おじ・おば・兄弟姉妹等」(連帯保証人とは別生計の4親等以内の親族) |
機関保証制度を利用しているなら個人再生・自己破産しても親に迷惑がかからない
連帯保証人が両親の場合、内緒で債務整理することはまず無理です。しかし、機関保証制度を選択している場合なら別です。
機関保証を利用して奨学金を借りた人なら、たとえ借金の額が大きくて個人再生や自己破産しても、両親に迷惑をかけることはありません。
機関保証から人的保証への変更はできませんから、入学前に機関保証を選択した人であれば、その後親族が保証人になっていたということもありません。
まとめ
この記事をまとめると下記の通りです。
- 奨学金の保証は機関保証か人的保証がある
- 両親が連帯保証人の場合、奨学金の債務整理をすると両親が責任を負う
- 両親に迷惑をかけないですむのは「機関保証を利用している」か「奨学金以外を任意整理する」場合
両親や親せきが保証人になっている場合、内緒で奨学金を債務整理することはできません。場合によっては、保証人も一緒に債務整理することになります。
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