任意整理は、債権者と交渉して将来利息をカットしてもらい、完済までの総支払い額を減らす手続きです。
ここで気になるのが、『総支払い額が減っても、毎月の支払い額が変わらなければ、生活は今のままなのでは?』という疑問です。完済までの合計額が減ったとしても、毎月払う金額が同じなら、家計の苦しさは変わりません。
結論からいうと、任意整理をすると、毎月の支払い額も少なくなるケースがほとんどです。
消費者金融やクレジットカードのキャッシングは、業界の自主規制によって、毎月の最低返済額を払い続けるだけで5年以内に完済できる仕組みになっているためです。将来利息がなくなれば、その分がそのまま元本の返済に回るので、同じ返済額でも早く、あるいはより少ない金額で完済できるようになります。
ただし、すべての借金に当てはまるわけではありません。返済期間が5年を超える自動車ローンや、低金利の借入では、任意整理をしても毎月の返済額が変わらないことがあります。
この記事では、次の内容を順番に解説します。
- 毎月の返済額が少なくなる仕組み
- 少なくなりやすい借金・なりにくい借金の違い
- 自分の場合を計算する方法(早見表つき)
なぜ任意整理で毎月の返済額が少なくなるのか
将来利息がなくなり、支払いの全額が元本の返済に充てられる
任意整理をする前は、毎月の返済額のうち一部が利息の支払いに充てられ、残りだけが元本の返済に回っています。
任意整理の和解が成立すると、多くの場合、和解成立後にかかる将来利息がカットされます。利息の支払いがなくなれば、毎月の返済額の全額を元本の返済に充てられるようになります。
たとえば、これまで毎月2万円を返済していて、そのうち5,000円が利息だったとします。利息がなくなれば、同じ2万円の返済でも、元本の減るスピードが速くなります。
分割回数を長く設定できる場合がある
和解交渉では、分割回数を見直すこともできます。たとえば、これまで36回払い(3年)で返済していた借金を、任意整理後は60回払い(5年)に組み直すことで、毎月の返済額を抑えられる場合があります。
ただし、分割回数をどこまで延ばせるかは、債権者との交渉次第です。必ずしも希望通りになるとは限りません。
毎月の返済額が少なくなりやすい借金・なりにくい借金
任意整理で毎月の返済額が少なくなるかどうかは、借金の金利と、もともとの返済期間によって決まります。
少なくなりやすい借金の特徴
次の条件に当てはまる借金は、任意整理によって毎月の返済額が少なくなりやすいといえます。
- 消費者金融のキャッシングやクレジットカードのリボ払いなど、年利15%〜18%程度の高金利な借入である
- 今の返済を続ければ、5年以内に完済できる設計になっている
消費者金融やクレジットカードのキャッシング枠は、日本貸金業協会の自主規制によって、毎月の最低返済額を払い続けても5年以内に完済できるよう設計されているのが一般的です。金利が高い分、利息をカットしたときの効果も大きくなります。
参考:貸金業の業務運営に関する自主規制基本規則(日本貸金業協会)
少なくなりにくい借金の特徴
一方で、次のような借金は、任意整理をしても毎月の返済額があまり変わらないことがあります。
- 自動車ローンなど、もともと年利1%〜5%程度と低金利な借入
- 返済期間が5年を超えるショッピングリボや事業性ローン
これらは、もともと利息の割合が小さいか、長期間に分けて少しずつ返済する設計になっているため、将来利息をカットしても、毎月の返済額に与える影響が小さくなります。
長期の借金を何件も抱えて生活が苦しい場合は、任意整理よりも個人再生や自己破産のほうが向いていることがあります。元本そのものを減らせるかどうかが、選ぶ際の目安になります。
関連:任意整理とは?メリットやデメリット、自己破産や個人再生との違いについて
自分の場合はどうなる?計算の手順
自分の借金が任意整理でどれくらい楽になるかは、次の手順で確認できます。
手順1:現在の借入残高と毎月の返済額を確認する
まずは、借入先ごとに次の2つを確認しましょう。
- 現在の借入残高(元本部分)
- 毎月の返済額
複数の借入先がある場合は、それぞれの残高と返済額を合計します。
手順2:任意整理後の毎月の返済額を計算する
任意整理後の毎月の返済額は、次の式で概算できます。
- 現在の借入残高の合計額 ÷ 分割回数 = 任意整理後の毎月の返済額(目安)
たとえば、借入残高の合計が80万円の場合、分割回数ごとの毎月の返済額は次のようになります。
早見表:借入残高別・分割回数別の毎月の返済額(目安)
| 借入残高 | 36回払い(3年) | 48回払い(4年) | 60回払い(5年) |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 約13,889円 | 約10,417円 | 約8,334円 |
| 80万円 | 約22,223円 | 約16,667円 | 約13,334円 |
| 100万円 | 約27,778円 | 約20,834円 | 約16,667円 |
| 150万円 | 約41,667円 | 約31,250円 | 約25,000円 |
| 200万円 | 約55,556円 | 約41,667円 | 約33,334円 |
※将来利息がゼロになった場合の単純計算です。実際の分割回数や利息の扱いは、債権者との和解交渉の結果によって変わります。弁護士・司法書士への費用は含まれていません。
手順3:今の返済額と比べる
計算した金額が、現在の毎月の返済額より少なければ、任意整理によって毎月の負担が軽くなる可能性が高いといえます。逆に、現在の返済額とあまり変わらない、またはより多くなる場合は、分割回数の交渉や、他の債務整理方法との比較が必要です。
正確な見通しを知りたい場合は、無料相談や無料診断を利用して、借入先ごとの状況を確認してみましょう。
参考:クレジットカード会社の返済額の一例
毎月の最低返済額がどのように決まっているか、オリコカードのリボルビング払いを例に見てみましょう。金額の設定は会社によって異なるため、あくまで一例としてご覧ください。
利用代金残高と返済金額の関係(オリコカードの例)
| ご利用代金残高(月末の残高) | 毎月の返済金額(弁済金) |
|---|---|
| 100,000円以下 | 3,000円 |
| 100,001円~200,000円 | 6,000円 |
| 200,001円~300,000円 | 9,000円 |
| 300,001円~500,000円 | 15,000円 |
| 500,001円~1,000,000円 | 20,000円 |
| 1,000,001円~2,000,000円 | 50,000円 |
| 2,000,001円~3,000,000円 | 70,000円 |
この例のように、多くのカード会社では、残高に応じて毎月の最低返済額が段階的に決まっています。ご自身の借入先の条件は、契約書や利用明細、会社の公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. 任意整理をすれば、必ず毎月の返済額は減りますか?
必ず減るとは限りません。消費者金融やクレジットカードのキャッシングのように、金利が高く、今の返済で5年以内に完済できる借金であれば、減る可能性が高いです。一方で、自動車ローンのようにもともと低金利で長期の借金は、あまり変わらないことがあります。
Q. 毎月の返済額が減らない場合、任意整理する意味はありますか?
毎月の返済額があまり変わらなくても、将来利息がなくなることで、完済までの総支払い額は少なくなります。総額を減らしたいのか、毎月の負担を軽くしたいのか、目的に応じて他の債務整理方法も含めて検討しましょう。
Q. 分割回数は自由に選べますか?
分割回数は、債権者との和解交渉によって決まります。3年(36回)が基本ですが、事情によっては5年(60回)まで延ばせる場合もあります。必ずしも希望通りになるとは限りません。
Q. 複数の借入先がある場合、まとめて計算していいですか?
借入先ごとに金利や交渉結果が異なるため、正確には1社ずつ計算するのが望ましいです。記事内の早見表は、あくまで全体のイメージをつかむための目安としてご利用ください。
Q. 減った返済額で、本当に生活が楽になりますか?
毎月の返済額が減っても、家計全体を見直さなければ、再び借金が増えてしまうことがあります。任意整理をきっかけに、収入と支出のバランスを見直すことをおすすめします。
まとめ
この記事をまとめると下記の通りです。
- 任意整理で将来利息がなくなると、毎月の返済額の全額を元本の返済に充てられるようになる
- 消費者金融やクレジットカードのキャッシングなど、高金利で5年以内に完済できる借金は、毎月の返済額が減りやすい
- 自動車ローンなど、低金利で長期の借金は、任意整理をしても毎月の返済額があまり変わらないことがある
- 自分の場合がどうなるかは、「借入残高÷分割回数」で目安を計算できる
自分の借金がどちらのケースに当てはまるか分からない場合は、無料相談を利用して、専門家に確認してみましょう。
