原則として、借りたお金を返さないこと自体は犯罪ではありません。

借金の返済が滞っても警察がやってきて逮捕されることはありませんし、刑事告訴されて前科がつくことだってありません。借金のトラブルは民事事件なので、警察が介入することはありません。

しかし、最初から借りたお金を返さないつもりで借金したり、ウソをついて借金すると詐欺罪になることがあります。

借金の滞納が犯罪にならない理由

通常、お金の借り貸しをする時には「○○日までに全額を返済する」「利息を○○%付ける」という約束をしています。

借りたお金を返さない行為は、債権者(お金を貸した人)と債務者(お金を借りた人)の契約違反になります。借金を返済しないのは契約違反だからと裁判所に訴えられるわけです。

しかし、借金を返済しないことが犯罪になることはありません。日本の刑法では、借金滞納しただけで刑罰が科せられることはないのです。

民事事件と刑事事件の違い

借金トラブルで裁判になると、「民事裁判」か「刑事裁判」のどちらかで扱われます。警報が適用される犯罪を扱うのが刑事事件で、後述する詐欺罪は刑事裁判で扱われます。

それ以外の個人同士のトラブル(借金滞納など)は民事裁判となります。

民事裁判では契約違反や債務不履行について争う

民法では、いわゆる契約違反のことを『債務不履行』とよんでいます。借りたお金を返さないのは、民法第415条の「債務不履行による損害賠償」が適用されます。

民法第415条(債務不履行による損害賠償)
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

契約違反によって債務者が借金返済を怠った場合、債権者は損害賠償請求が可能です。

お金を貸した側は返済されなくて当然かといえば、そうではありません。損害賠償請求をするために民事裁判に訴えることができるのです。

刑事裁判は犯罪行為について扱う

刑事裁判では、犯罪行為をした人やその疑いをある人を、「実際にしたのか」「なぜ犯したのか」などを判断して処罰します。

民事裁判が「個人(法人)vs個人(法人)」なのに対して、刑事裁判は「国家vs個人」となります。

借金トラブルの場合「どんな嘘をついてお金を借りたのか」「それが有罪になるのか、無罪なのか」を扱います。

借金トラブルで刑事裁判になることは滅多にありませんが、その例外が詐欺罪です。

刑法第246条(詐欺)

  1. 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
  2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

本心では最初から返すつもりがないのに「○月○日までに返すのでお金を貸してください」という嘘をついてお金を借りると詐欺罪に問われます。

一度も返済しないで債務整理をしようとすると、詐欺で訴えられる可能性があるのはこのためです。

多重債務からの自転車操業は詐欺罪にはならないことが多い

よくあるのが、「借金を返すために借金をする」という自転車操業状態になっている人が、借金の支払いが滞ってしまって「詐欺罪で訴える」と言われるケースです。

「自転車操業状態でお金を借りていたのだから、そもそも返済する気がなかったのだろう?」というわけですね。

確かに、はじめから返済しないつもりで借金すると詐欺罪になります。絶対に収入が追いつかない状況で沢山借金をすると詐欺罪に問われることはあります。

しかし、貸金業者も、来店した人が多重債務者だということを知りながらお金を貸すことはあります。現在は信用情報機関(ブラックリスト)で借金滞納している人がわかりますから、業者側が騙されていなければ裁判になっても詐欺罪は成立しません。

では、なぜ詐欺罪なんて言葉を持ち出してくるのかといえば、貸金業者は顧客に債務整理されたら商売にならないからです。債務整理させないために、あくまでも脅かす程度のつもりで「詐欺罪で告訴する」と言っているのでしょう。

実際に詐欺罪になる4つの条件

お金を借りた時点で返済する気持ちがなかったり、お金を借りる際に個人情報を偽っていれば詐欺罪に問われます。

詐欺罪を立証するには次の4つの証拠が必要です。

  1. 欺罔行為
    加害者が被害者を騙すつもりで騙したこと
  2. 錯誤
    実際に被害者が騙されたこと
  3. 処分行為
    騙されて被害者が財産を処分したこと
  4. 占有移転、利益の移転
    被害者が加害者または第三者に処分した財産を渡したこと

逆に言えば、この4つがなければ詐欺罪は成立しません。

「お金を借りる時は返済するつもりだった」と主張できれば詐欺にはならないのです。詐欺を立証するのは難しいと言われるのがこの理由です。

弁護士さんに債務整理を依頼する際には「今日から新たな借り入れは絶対にしないでください。クレジットカードの支払いも一切ダメです。」と言われます。これから債務整理をするのにお金を借りるのは「返済するつもりがなかった」ということで、詐欺罪になり得るからです。

もちろん、債務整理のための弁護士費用を調達するためにお金を借りるのも絶対にだめです。

まとめ

この記事の要点をまとめると以下のようになります。

  • 借金を返さないのは、債権者と債務者の間で契約違反になる
  • 借金を返さないこと自体は犯罪ではない
  • 最初から踏み倒すつもりで借金をした場合は詐欺罪になり得る

借金が返せないからといって詐欺罪になることはありません。しかし、借金を返せなくなった時に、もう返済しないつもりで借金すると詐欺罪になることはあります。

借金が返済できなくなっても、合法的に借金問題を解決する債務整理という手段があるのです。借金返済で悩んだ時は弁護士に相談してください。

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